近くば酔って目にも読め

2018年4月 2日 (月)

本/義経号、北溟を疾る

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毎年、桜の季節に、100名超の会員が熱海に集まり、大賞の発表で朝まで呑んだくれていた、「日本冒険小説協会」の全国大会。本や映画、落語に芝居。楽しい話はなんでもアリの大宴会も、会長の内藤陳サンが亡くなり、解散・終宴から早や6年経過。昨年、当時の運営メンバー有志で墓参に行き、久しぶりに熱海へもということになった。お宿の営業マンに頼んで、当時と同じ部屋を使わせてもらったが、フロントマンから仲居サンまで、懐かしい顔が挨拶に来てくれて感涙。翌日は在住の御歳85「辻 真先」先生がお出ましになってくださり、行きつけの小料理店で昼食をご一緒。すっかり高揚してしまい、前夜の酒が抜けていないのに、生ビールと熱燗2合を一人で呑んでヘロヘロに。「先生っ、"弁慶号、北溟を疾る"読ませていただきました。たいへん面白かったですっ!」と申し上げると、一瞬「?」という顔をされたあと、笑顔で「あと2作ほど執筆中なので、また読んでください」と。しかしこの冒険活劇推理小説は、ヨイショでなく本当に面白かった。登場するキャラ設定が見事でわくわくの一気読み。で、帰宅して改めて本を手に取って、「あ、弁慶号じゃなくて、義経号…」と気がついた。おお、恥ずかしい。

2018年2月15日 (木)

本/バスを待つ男…サボる男

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カンボジアの査証を受領に行くので、その後のランチを抜いて、この時間を上野で開催中の「日本水石展」に充てようと計画。友人の作家、西村健サンの「バスを待つ男」を携えて出かける。退職した老刑事が都バスのシルバーパスを利用してあちこち出かけ、行った先で気になった出来事を謎解きするという、着目点が彼らしい短編集なのだが、「母子の狐」という、王子稲荷を題材にした第二章に「あれっ!」。まさに来週のご一緒仕事で訪れる場所が王子で、全く土地勘のなかったワタクシにはまるでガイドブック。ここで上野と王子は近いということに気がつき、「下見」という心の大義名分もデキたので、「ま、いっか」と王子へ。卵焼きの「扇屋(定休日だった)」、久寿餅の「石鍋商店」など名物店にも立寄り、下見なのでお昼をお願いしている店で、鰻・豚汁定食もしっかり食べ、それから「水石展」を見て、会社に戻ったのは夕刻。「いや~、いろいろ用事が長引いちゃってね…」。嘘つきである。

2017年10月30日 (月)

本/リボルバー・リリー

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先々週の木曽路の時も、いささか怪しかった当社の晴れ神サマだが、ついに台風22号の前に力尽きたか、それとも神無月だからか、今日のご一緒仕事が中止になってしまった。仕方がないので日がな一日、溜まっていた出納帳を片付けていたのだけど、大キライな算数なので、ついつい映画の予告編なんぞをチェックしてしまう。で10月20日に公開された「アトミック・ブロンド」を見ていたら、「リボルバー・リリー」の"小曽根百合"を思い出した。出版は昨年の4月だが、ワタクシ読んだのは今年の5月になってから。大興奮の冒険活劇小説を久しぶりに堪能した。これでもかの窮地を次々と乗り越え、叩き潰し、その使命に向かって突き進むのだ。説得力のある時代設定もグッド!しかし今さらではあるけど、この手の小説は知らず知らずチカラが入ってしまい疲れる。歳のせいだろうか。映画化のハナシもありやなしやとのこと。ちょうど良い尺に納まりそうな話だけど、リリーのイメージにぴったりの女優って誰だろう。

2017年8月17日 (木)

帰ってきたヒトラー

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いろいろと優先する用事が多く、ずっと映画を観ていなかったので、「この雨続きのお盆の夜を逃してなるものか!」と、ちょうど読み終わった「帰ってきたヒトラー」を、映画版でも観ようとTSUTAYAで借りてきたのだった。本は中盤までヒトラーの考え方、思想なりを語る部分が多く、少し疲れたが、以降はぐんぐんと面白くなって、最後はドイツ語でいうところの「シャンツェ」をシュンと飛んだところで終わった感じ。さて映画はと言えば、中盤まではあちこち旅をするロードムービーのようなのを、コマ切れに見せられてちょっとゲンナリ。が、以降はばっちり面白くなって、最後のドンデン返しはなかなか良かった。さんざん罵倒されたヒトラーが言い放つ、「しかし私を選んだのは君たち国民だ」と言うくだり。自分たちの今に置きかえてみると笑ってもいられない。演説の説得力に聴きどころ見どころ多し!

2017年4月 3日 (月)

ミスター・メルセデス

MrmercedesS.Kingの「ミスター・メルセデス」を読了。面白いと評判だったので、期待して読み始めたものの今までに読んだ作品と違って、なんだか「らしくない」感じ。うーん…と唸りながらも上巻が終わり、下巻へ入ったら、おやおや~、今までぐだぐだしてたキャラが立ち始めたぞ~と思っているうちに、読むのが止まらなくなってしまった。訳者あとがきを読むと、今までS.Kingといえば「シャイニング」や「IT」のようなホラーものや、「アンダー・ザ・ドーム」のような怖いSFのイメージだったけど、これは初のミステリーにトライした作品とのことで、違和感にもナットク。主役がまさかの置いてけぼり状態で活躍できないとか、悪役がギリ死ななかったラストなどは、すでに書きあがっている翻訳待ち続編の含みなのか?と思うと楽しみ。

2017年3月25日 (土)

マルタの鷹/小鷹信光訳

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先日、渋谷からの車中でつり革につかまっていると、周囲がスマホを手にしているなか、隣で横顔のステキな女性が文庫本を読んでいたので、「今の若い女性は何を読んでるんだろう」とチラチラ見ていると、章題に「おんな三人」と見えた。「あれっ?なんか記憶にあるぞ」と思ったものの、それ以上は出てこない。しばらくして登場人物を確認したときに表紙が見えた、「マルタの鷹」だった。なぜ彼女がこんなハードボイルドの古典を読むに至ったかはわからないけどなんだか嬉しい。「そうだ!内藤陳会長の形見分けで貰ったのがあったっけ」と思い出してすぐに再読。サム・スペードの強い矜持はカッコいいけど、自分の日和見な毎日を思うと少しいじける。この本はいろいろな訳者の版があって、彼女が誰のを読んでいたかわからないが、ワタクシは一昨年亡くなった小鷹信光さん訳の本しか読んだことがない。初読の時の感動は宝モノだ。

2016年8月18日 (木)

本/ヤギより上、猿より下

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先週、ゴールデン街の深+で呑んでいたら、ふらりと平山夢明さんご来店。それで「あっ!」と思い出し、積読本の下から引っ張り出した最新刊「ヤギより上、猿より下」折悪く、友人が亡くなり気力が減衰している状態だったので、無慈悲な直撃弾をまともに喰らってしまった。あいかわらずフツーの知り合いには薦められない、読んでる間はサイテーな小説です。それでも平山さんのハナシは読み終わった後、主人公に同情するのではなくて、「この物語のどこに救いを見つけようか」といつも考えてしまうんです。たぶん自分の心が瓦解しないように、防御本能が働くのでしょう。結果「確かにヒドイ奴だけど、こういう優しさがあるじゃないか」と、自分なりの解釈をして読了。帯はとてもカワイイんですが、見えてない背表紙には「最悪劇場」とあります。

2016年7月 8日 (金)

本/G.ライアル・深夜+1

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日本冒険小説協会残党員にとって、故.菊池光さん訳の「深夜プラス1」は、誉れ高い名作でありバイブルでもあります。何たってゴールデン街の店名からして「深夜+1」だからね。今年4月「新訳/深夜プラス1」が出たので、さっそく旧訳を再読してから新訳を読んでみた。やっぱり現代版は文章がきれいでとても読みやすい。しかし今さらながら「冒険小説のキモは文章より文体にあり」と再認識。水戸黄門に例えるなら、「そこに直れ」より「控えおろう」の方がそのシーンが頭に浮かぶと思うのだけど。これって頑固な思い込みですかねー?

2016年2月 9日 (火)

本/血の弔旗

Chinochoki

ワタクシある場所に死体を埋めた事があって、それは誰にも言わずに記憶の底に沈めて暮らしていたのですが、ある時そこが掘り起こされると聞き、もの凄く焦りまくって、「それはマズイ!何とかしなくては、どうしよう…どうしよう」という夢を、繰り返し見ていた時期があったんです。目が覚めると心臓はバクバクしてるし、ワキ汗かいてるしで、あれは何でそうなったんでしょうか。この小説でその事を思い出しました。普段は忘れているのに、ちょっとした出来事が発覚に繋がるのではと、毎日ビクビクして暮らしてるんです。おおヤダヤダ。

2015年12月29日 (火)

幸運の書「降霊 怪談」

Kasaisan

忘年会続きで朝起きてもアタマがぐらぐら。それでも昨日は内藤陳サンの命日だったので、ゴールデン街/深+へ。このサインをしている若者は、数ヶ月前に青森から作家志望でこの店を訪ね来た時に、彼の敬愛する作家、平山夢明サンと編集者がたまたまここで呑んでいて、茫然とするなか、持って来た原稿を読んでもらったのがキッカケで作家デビューを果たした、とてもラッキーで引きの強い葛西俊和さんです。で、このサイン本を戴いたのだけどワタクシの苦手なホラー…。お正月に指の隙間から読むことにします。

◆「降霊 怪談」 葛西俊和 竹書房文庫
1/2 読了.プチ怖い話に少しの優しさが感じられる短編集で面白かった。これなら苦手じゃない!

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