近くば酔って目にも読め

2020年8月 7日 (金)

本/夕陽の道を北へゆけ

Photo_20200806211301 「ザ・ボーダー」に続いて、またもメキシコカルテルものながら、これは8歳になる息子ルカとその母リディアが、メキシコカルテルのボスの抹殺指令によって、誰がGPSのような追っ手かわからない中を、生きるために安全圏となるアメリカへの越境逃避行を描く、ハラハラドキドキのロードノベルだ。プロットとしてはありがちの話ながら、その肉付けがとても見事。次々と迫るその心理的恐怖と、出会う人が信頼できるのかできないのか、登場キャラに一喜一憂。疑心暗鬼のまま物語は最終章へ!という、熱帯夜に読むのはどうかと思う、アブラ汗出まくりの息がつまる小説であります。それだけにエピローグでクールダウン、読了しての深呼吸が気持ち良い。さて、読み終わってから、以前に子供二人と途中で出会ったボーイッシュな少女が、同じように列車の屋根に乗って国境を越える映画を観たことを思い出したのだが、題名もストーリーも、映画かTVかDVDか何で観たかすら思い出せない。たしか後半に少女は高圧電線で自殺した。うーん、何という映画でどういうハナシだった??? とほほ。


2020年6月26日 (金)

本/バベル

Photo_20200624211701 前出「スタンド」に続くウィルス小説第二弾は再読の「バベル」。著者.福田和代サンには2017年に岡山でお会いして以降はすっかり無沙汰。新作も読んでおらずで陳謝。さてこの小説はその前2014年に出版されている。強い感染力を持つインフルエンザウィルスの感染流行の端緒や、コロナ差別などの描写は、今となってみれば予見したようなその一致に驚くばかり。おハナシでは、感染すると一生「話す方の言語」を失うという設定なのだけど、「言語が生まれるまで"以心伝心"でコミニュケーションをとっていた人間は、言語を習得したために孤独な生き物になった」という一節があって、別の意味で考えさせられた。思うに今ではSNSというコミニュケーションツールが発達したことで、よりたくさんの人と知り合えるようになった反面、さらに「孤独なぼっち」が増えることになったのではないか。こういう時代になった今、いろいろ読み深められるタイムリーなお薦め小説です。


2020年5月 9日 (土)

本/本能寺の変 431年目の…

431 コロナの自粛生活でNHK大河「麒麟がくる」を観る余裕ができた。昨年、信長の安土城跡に行ったこともあり、毎回楽しみにしている。合わせていつ初読か忘れたけど、奥付2014年とある「本能寺の変 431年目の真実」を読み直した。著者は"明智憲三郎"、光秀の子・於寉丸(おづるまる)の子孫とのこと。もちろん明智の子孫とはいえ、新たに光秀の遺言文書や、肉声録音が発見されたなどということではなく、信長の側近が書いた「信長公記」や、秀吉が書かせた「惟任(光秀のこと)退治記」などを詳細に読み込み、著者の推測と突合せて構築した、歴史推理小説のようなものだ。が、だからこそ面白い。一般的には信長のイジメにぶち切れた光秀が、「信長め!倍返しだ」というストーリーで知られているけど、子孫としては「そんな恩知らずではない」と、そうなった理由をわかりやすく述べている。ワタクシも逆恨みで謀反はちょっととは思うが…結局、真実は謎のまま。ところでコロナの影響で、現在「麒麟がくる」は撮影がストップしているらしい、何ならも一回アタマから放映してくれても良いけど。


2020年4月30日 (木)

本/宝島

Photo_20200424192201 「右側通行は今日で最後です」と、バスガイドが言った1978年(S.53)7月29日は、大学生アルバイト添乗員だったワタクシの、初の沖縄添乗の最終日だった。その後も短期駐在としてたびたび沖縄に行く機会に恵まれて、仲良くなったスナックの女の子に、当時は魔窟と言われていた桜坂のゲイバーや、怪しい店にも連れて行って貰った。泊まっていた安ホテルは若狭という、すぐウラで時々発砲事件が起きるような場所だった。この小説は未だ戦後終わらぬ1952年のアメリカー沖縄が、日本に返還される1972年まで20年間の、受け入れざるを得ない現実と混沌、3人の若者の鬱屈と成長を描いた熱い熱い物語だ。ワタクシは未だお会いしてないけど、作者の真藤サンは、新宿ゴールデン街の深+1に何度か来店されていて、その店主のお薦めで読み、前述したような思い出もあっていたく感動したのだった。なんたって2019年直木賞!自粛中のこのGWの読書に、是非いかがのお薦め本です。


2020年4月22日 (水)

本/ザ・スタンド

Photo_20200421134901新型コロナウィルスは、中国の武漢ウィルス研究所から誤って流出したという説が、まことしやかに語られているが、先日、ぽん!という感じでこの小説を思い出した。米国の軍研究所から罹患率99.4%の空気感染するウィルスが漏れ、咳と痰の症状が出て死に至り、あっという間に死者が増えていくというおハナシで、本筋はこれによって生き残った人々が、善と悪に分かれて戦うというもの。日本で2000年に翻訳本が出たのだけど、上790頁/下630頁で2段組、1冊3,000円というシロモノだった。スティーブン・キングの大傑作との評判で、すぐに読みたかったワタクシは「えいっ!」と購入、読了してすぐに某古本チェーンへ買取に出したら1冊600円と言われ、すぐに「返せっ!」となった。で、まだこうして手元にあるわけで、今は文庫5冊になっているようだ。上巻をざっくり読み直してみたが、キングにしてはあっさりした文章で、それがかえって感染率が高く、燎原の火のごとく全米にウィルスが拡がる感じで、背筋がぞわぞわと…。さてリアルな話、せめてワクチンが出来るまでは罹患したくない。


2020年4月15日 (水)

本/ザ・ボーダー

Photo_20200415215101 今までWeb予約で受取/返却だけは出来た図書館だったが、11日にまさかの全部お休み宣言が出ていた。あちゃー、こんなことなら限度まで借りておけば良かった。購入本の積読消化に気を取られて読みが甘かったのだ。まあ、それで一旦停止せずに、ドン・ウィンズロウ「ザ・ボーダー」の下巻が読了できて良かった。これは3部作モノで、第一部の「犬の力」が、「日本冒険小説協会」外国軍大賞に選ばれたのは、2009年の第28回大会だった。2011年に内藤陳会長が亡くなり、協会は2012年に解散。その後2016年に第二部の「ザ・カルテル」が発刊され、昨年出版されたこの「ザ・ボーダー」で完結巻となった。ほぼフィクションとも思える、メキシコの麻薬戦争にかかわる、復讐、正義、覇権戦争、家族愛、疑心暗鬼、裏切りの連続で、一冊読み終わるごとにぐったり疲れる小説だった。それだけにちょっと寂しくもある。誰にでもお薦めできる内容ではないけど、ちょっと興味が湧いたなら、まずは「犬の力」から。


2020年3月15日 (日)

本/三体

Photo_20200315122001 とりまく状況に好転の兆しはなく、労働時間がだぶつくようになってきた。いずれ世の中がまわり出した時のために、やっておきたいことはたくさんあるのだけど、さっぱり気持ちが前向きにならずカラダも動かない。かと言って平日に店を開けないで映画に行くわけにもいかず、なんだかなあの日々を送っているのだけど、おかげで積ん読本崩しがさくさく進んでいる。前評判の高かった中国SF小説「三体」は、昨年7月発売後にすぐ読んで、とても面白かったのだけどワタクシの読解力が足りず、内容が今ひとつ?だったのでこのたび再読。宇宙の彼方にある不安定な3つの太陽(ニュートン力学だそうだ)が回る惑星の三体文明と、地球の住環境に絶望してこの三体世界に救済を求めようとする謎の団体。これに復活と滅亡を繰り返す古代中国のVRゲームも登場、さらにかつての文化大革命などなど、中国四千年と宇宙を舞台にした壮大なスケールで、二度読みでもやっぱりの超面白小説だった。初読ざっくり読みだと???が多くてたびたび脱水すると思うけど、(←小説に出てくる用語で気に入っている)めげずにとにかく読了。


2019年9月16日 (月)

本/ベルリンは晴れているか

Photo_20190916104501 「夢とは忘れられていたものが仕返しに来る時間」と、誰かが何かに書いていた。ワタクシもご多分に漏れず、夜中に起きて用を済ませ、すぐまた夢の中へ戻れるなら良いのだけど、それまで見ていた夢が仕返しの最中だった時は、その後、半睡不安状態で時間が過ぎることが多い。そういう場合は読書で脳内の場面転換をすることにしている。4年ほど前に読んだ「戦場のコックたち」。書評には読んだ多くの方々が、翻訳だと思ったとあるがワタクシも同じ。作家は深緑野分さんという女性。当時を見たような情景描写とドイツ軍側の視点で書かれた、謎解き短編集でとても面白かった。で、昨年購入して積読だった次作の「ベルリンは晴れているか」。すでに文庫本が出ていて新刊購入した意味なし。ここ数日の夜中読みでやっと読了。ナチス・ドイツが負けて、米ソ英仏の4国統治とその対立下で起きた殺人。疑われたドイツ人少女・アウグステと、周囲に展開する登場人物たちとのストーリー。現代にも多くある事件に繋がる真相にため息。2冊まとめてゼヒにとお薦め。


2019年7月31日 (水)

本/卵をめぐる祖父の戦争

Blg 見逃していた評判の小説「卵をめぐる祖父の戦争」と「25時」を読了。"わしは"と一人称で語られてゆく"卵を…"。ナチス・ドイツによるレニングラード(旧サンクトペテルブルグ)包囲戦争のさなか、ある事情によってコンビになった、二人の若者の1週間を描いた小説。読後感がとても良かったので、その前に刊行された「25時」も読んだ。こちらは映画化もされたようだ。残念ながらまだ観てないので、レンタルDVDがあるのならぜひ観てみたい。どちらも素敵な小説だった。このD.ベニオフという作家さんは、限られた時間、友人・仲間、洒脱な会話と経過、アンハッピーと小さな心のハッピーという終わり、そういう構成が好きなようだ。で、それが何とも言えず心地良かった、久しぶりのオススメ本2冊。


2019年4月14日 (日)

その子孫はと言うと

15 友人というには年上なので、知り合いというカテゴリーになるかと思うのだけど、ブルーグラス音楽仲間に「島崎さん」と言う方がいて、ギター弾きでカントリーとブルーグラスを歌っている。この方「木曽路はすべて山の中」で有名なあの方の孫だ。ちょっと話は逸れるがその昔、テストでまず「藤村」と書いてしまい、下の名前が思い出せず、惜しいところで正解にたどり着けなかった友人がいたのを思い出した。閑話休題。で、その後、カントリー音楽仲間の「平賀さん」という人とも知り合いになって、ある時この話をしたら「いや、実は私も"源内"の子孫なんです」と言うではないか。思わず「えっ!じゃT芝はコネで入社ですか?」と茶化したら、「いやいやそれは関係ない」とのことだったが、ぜったい遺伝子が関係してると思う。さてこの本をお書きになった「岡野さん」はと言うと、このヒトもブルーグラスバンドでフィドル(バイオリン)を弾いていて、あの大河ドラマ「真田丸」に登場した"板部岡江雪斎"(演じたのは山西惇さん)の子孫だ。北条から豊臣に仕えて「岡野」に改名、なんとその所領はワタクシの住まう青葉区のおトナリ、緑区長津田で、駅至近の「大林寺」にはお墓もあるのです。知り合いの意外な系譜って面白い。

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